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コラム > 体操の時間に、わたしが話していること

てとての時間 No.02 2026年9月7日

体操の時間に、
わたしが話していること

デイサービスで、毎週、午後の体操を担当しています。

内容は、毎回おなじです。
順番も、時間も、変えていません。

おなじことをくり返していると、
だんだん「こなす時間」になってしまいそうになります。
そうならないように、気をつけていることがあります。

わたしがしていること

まず、なぜこの動きをするのかを、その場で話します。

「手首を回しますね。
これ、歯みがきをするときと、おはしを持つときに使うところなんです」

「今日は足首をやりましょう。
つまずいて転ばないための体操です」

膝が痛くならないように。立ち上がるときに、ふらつかないように。
ひとつずつ、理由を添えます。

それから、声の大きさを変えます。

はじめは張って、みなさんの背中を起こすように。
終わりのほうは、ゆっくり、力を抜いてもらう口調で。

ときどき、笑ってもらいます。
うまいことを言おうとするのではなく、こちらが楽しそうにしていると、つられて笑ってくださいます。

「わたしの目を見て、
息を吐きましょう〜」

この声かけを、必ず入れます。
目が合うと、その方はもう「見ているだけの人」ではなくなります。

やらない方もいます。
それはそれで、いいと思っています。

みなさん、うなずくんです

正直に言うと、
わたしの説明を理解してくださっている方が何人いるのかは、分かりません。

終わったあとに「さっき、何の体操だったかしら」と聞かれることもあります。
覚えていらっしゃらないのだと思います。

それでも——
説明をするたびに、みなさん、うなずいてくださいます。

わたしは、これがとても大事なことだと思っています。

うなずくというのは、「参加している」ということだからです。
話しかけられて、受け取って、返している。
その一瞬、その方は「体操をさせられている人」ではなく、
会話の相手になっています。

覚えていなくても、いいのだと思います。
うなずいたその時間は、確かにあったのですから。

動かしているのは、体ではない

この体操は、専門の体操の先生に教えていただいたことをもとに、
わたしが自分で組み立てたものです。

音楽に合わせて、どの順番で、どこを動かすか。
考えて作りました。

でも、やってみて分かったのは、
動きの中身より、その間に何を話しているかのほうが、効いているらしいということでした。

体を動かすことが目的です。それは変わりません。
ただ、そこにたどりつくための入り口は、
コミュニケーションと、笑顔なのだと思っています。

ご家族にも、同じことが言えます

「もっと歩いて」
「じっとしてないで、動いて」

ご家族が心配して言う言葉ほど、届きにくいことがあります。
言われた側は「また言われた」となってしまうからです。

かわりに、なんのために動くのかを、一緒に見つけてみてください。

たとえば、こんな言い方に

「歩いて」 → 「今度いっしょに、あそこのお店まで行こうよ」
「手を動かして」 → 「またお母さんの卵焼き、食べたいな」
「体操して」 → 「お墓参り、来年も行きたいでしょう?」

目的があると、体は動きます。
デイサービスで毎週それを見ています。


このコラムを書いた人

眞下 恵子(ました けいこ)

TETOTE 代表/介護職員初任者研修 修了/現役デイサービス勤務

茅ヶ崎に暮らして10年。駅前で飲食店を営んだのち、今は市内のデイサービスで働いています。
TETOTEは、茅ヶ崎を拠点にした、話し相手と見守りの訪問サービスです。
藤沢市・平塚市・寒川町にも伺います。その他の地域もご相談ください。
伺った日のご様子は、写真とメッセージで、離れて暮らすご家族へお届けしています。

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